茨城教育研究所

茨城教育研究所

 1997年5月に茨城県高等学校教職員組合の全面的な支援の下、設立されました。茨城県の教育問題を中心に、幅広く
教育に関連するテーマを調査・研究し、「研究所通信」として成果をまとめ、教育活動を支援してきました。

設立趣意書topics

1997年5月24日 茨城教育研究所設立集会

憲法・教育基本法 子どもの権利条約の理念に立って
 戦後50年、日本が誇れることは一度も戦争をしなかったことです。間もなく21世紀、戦争によって人を殺すことのない日本を、なんとしても子どもたちに残してやりたいものです。そのためには、憲法の恒久平和主義、国民主権、基本的人権などの諸原則を、人類の普遍的価値として、21世紀の世界に継承・発展させることが必要です。
 しかし、地球上に目を向けると、いまだに戦争と戦争の危機に満ち、中国・フランスは核実験を再開しました。日本国内でも、戦後50年を迎えた今年一年を振り返ると、関西大震災、オウム真理教事件、沖縄の米兵による少女暴行事件、そして「いじめ」や体罰による自殺の続発など、絶望的な事件が相次いでいます。
 しかし、私たちは絶望する必要はありません。こうした危機に勇気を持って立ち向かう人たちも存在するからです。沖縄10・21集会で、8万5千人を前に、高校生代表の中村清子さんは「沖縄を本当の意味で平和な島にするために、私は一歩一歩行動していきたい」と堂々と訴えました。関西大震災への政府の無為無策を見かねて文字通り「自発的に」ボランティア活動に飛び込んだ多くの若者たちもいました。
 そして、このような希望と英知を生み出す源泉が教育にあることは明らかです。教育とは、「人間形成についての目的意識的な働きかけの実践過程」と定義づけられますが、問題は、どのような「人間形成」を目指すかということです。私たちの目指す人間像は、日本国憲法・教育基本法・子どもの権利条約に示された、平和と民主主義の担い手としての主権者にほかなりません。憲法は国民主権・平和・基本的人権の理念を示し、教育基本法は「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきもの」として、民主教育の理念を示しています。また、子どもの権利条約は、「子どもの最善の利益が第一義的に考慮される」べきことや子どもを権利の主体としてとらえるという子ども観をうち出しています。
 しかし、教育の実現をみますと、子どもの人格までも評価する「観点別学習状況」評価、差別と選別の高校「多様化」、不登校、いじめ、体罰などを生み出す管理主義教育など、憲法・教育基本法の原則を踏みにじるような教育政策が、「教育改革」の名の下に現場に押しつけられています。
 私たちが、教育研究所をつくる目的は、このような諸改悪を排して、教育の場に、平和と民主主義、人権と自由を確立することです。

 なぜ、「茨城」の地につくるのか
 私たちは、教育は地域住民に責任を負ってすすめられるべきであり、茨城の教育は茨城県民のためにあるべきだと考えます。その意味で、茨城にも独自の教育研究所が必要なことはいうまでもありません。
 また、茨城県教委の教育方針は、大部分が文部省の引き写しですが、時には悪い意味での「独自性」を発揮することもあります。「人格の点数化」で全国的に悪名を馳せた「新入試制度」がその例です。このような場合、茨城に教育研究所が必要となることは論を俟たないでしょう。
 21世紀を生きる子どもたちのために
 21世紀を特徴づける言葉は、「地球時代」と「共生」です。
 「地球時代」とは、「地球は一つの運命共同体」という感覚・意識が地球規模で広がり、国家主権が無意味になるような時代です。「共生」とは、「共に生きる」ことであり、それは、人間中心主義でなく、自然環境の保全をはかる「万物の共生」であり、東西・南北、民族、大人と子ども・老人、男と女、障害者と健常者等などがそれぞれの固有性を生かしつつ共に生きる「万人の共生」でもあります。
 このような時代には、学校と教育は、競争から共生へと大きく変わらなければなりません。そこでは、クラス全員、生徒・教師、父母・教師などが共生し、教育内容も万物・万人の共生をコア(核)とするカリキュラムづくりが求められるでしょう。
 当研究所は、このような教育の課題にも積極的にとりくんでいきたいと思います。
 研究の自由と公開を原則に
 当研究所は、研究の自由と公開の原則のもとで、お互いのさまざまな意見を尊重しあい、また、教育に関心をもつすべての人々に広く開かれた形で、よりよき教育の創造をめざして、研究をすすめるものです。 


活 動news

毎月1回、所員が会議を開催し
様々な教育問題を議論しています。その中で取り上げられた問題の中からテーマを決めて、調査研究し、その成果を「研究所通信」にまとめています。2018年3月20日に「研究所通信第28号」を発行しました。
所員は、茨城県高等学校教職員組合の組合員(元)を中心にしています。

茨城教育研究所

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